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「おいしい味噌」は何が違う?香り・コク・余韻の見方

コラム
「おいしい味噌」は何が違う?味噌が並んでいるイメージ画像

スーパーの棚にずらりと並ぶ味噌を前に、「結局、どれがおいしいんだろう?」と迷ったことはないでしょうか。ランキングやおすすめを調べても、味の好みは人それぞれで、しっくりこないこともあります。

実は「おいしい味噌」には、たった一つの正解があるわけではありません。この記事では、香り・旨み・コク・甘み・塩味・余韻といった味わいの視点から、味噌のおいしさをどう見ればよいのかを整理します。読み終えるころには、自分にとっての「おいしい味噌」を探すヒントが見つかりやすくなるはずです。

「おいしい味噌」に一つの正解はない

まず前提として、「おいしい味噌」の基準は人によって、そして使い方によって変わります。あっさりした味噌汁が好きな人もいれば、こっくり濃厚な味わいを好む人もいます。同じ人でも、朝の味噌汁と、魚の味噌漬けとでは、合う味噌が違うこともあります。

味噌は、米みそ・麦みそ・豆みそといった種類や、甘口から辛口までの幅、淡色から赤系までの色合いなど、実にさまざまです。その中で「どれがおいしいか」は、育った地域の味や家庭の味、料理の用途によっても左右されます。

ですから、ランキングで一番に挙げられている味噌が、あなたにとっての一番とは限りません。大切なのは、「おいしさがどんな要素でできているのか」を知り、自分の好みと照らし合わせてみることです。次の章から、そのための見方を具体的に見ていきましょう。

おいしさを構成する6つの要素

味噌のおいしさは、いくつかの要素が組み合わさって生まれています。ばくぜんと「おいしい」と感じている味わいも、要素に分けて意識してみると、自分がどんな味噌を好むのかが見えてきます。ここでは、香り・旨み・コク・甘み・塩味・余韻という6つの視点で整理します。

要素 どんな味わいか 感じ方のポイント
香り 発酵によって生まれるふくよかな香り お椀に注いだときに立ち上る香り
旨み 深い味の中心となるうまみ 口に含んだときの満足感やだしとの一体感
コク 味わいの厚み・重厚感 熟成による濃さや深みの度合い
甘み やわらかく感じるあまさ 麹の働きから生まれる自然な甘さ
塩味 味の輪郭を決める塩け しょっぱさの強さ・味の締まり
余韻 飲み込んだあとに残る後味 すっと引くか、じんわり続くか
味噌のおいしさを構成する6要素(香り・旨み・コク・甘み・塩味・余韻)のマップ

香りは、味噌を発酵・熟成させる過程で生まれる、味噌ならではのふくよかな要素です。旨みは、大豆のたんぱく質が分解されてできるアミノ酸などによるもので、味わいの中心になるとされています。コクは、熟成によって生まれる味の厚みで、深い味わいを好む人には欠かせません。

甘みは、麹の働きででんぷんが糖に変わることで生まれる、やわらかな味わいです。塩味は、味の輪郭を決めると同時に、味噌の保存にも関わる要素です。そして余韻は、飲み込んだあとに口の中に残る後味の印象です。この6つのうち、どの要素を心地よく感じるかは人それぞれで、その組み合わせの好みが、「おいしい味噌」の感じ方をかたちづくっています。

原料・発酵・熟成でおいしさはどう変わる

同じ「味噌」でも、味わいに違いが生まれるのはなぜでしょうか。それは、原料の配合や発酵・熟成のありようによって、先ほどの6要素のバランスが変わってくるからです。

一つの目安になるのが「麹歩合(こうじぶあい)」です。これは、大豆に対してどれくらいの麹を使っているかを表す割合で、塩分が同じくらいなら、麹歩合が高いほど甘くなりやすい傾向があるとされています。また、塩の量が多めか控えめかによっても、塩味の強さや味の締まり方が変わります。

熟成の長さも、味わいを大きく左右します。熟成が進むほど色は濃くなり、コクや旨みが増していく傾向があるとされています。淡色でさっぱりした味噌と、赤系で濃厚な味噌とで印象が違うのには、こうした背景があります。

原料の配合・発酵・熟成が味噌の味わいをどう変えるかを示した図

ただし、「麹歩合が高ければ必ずおいしい」「長く熟成したものほどおいしい」というわけではありません。あくまで好み次第です。原料や発酵・熟成による違いの詳しい仕組みは、関連記事であらためて掘り下げます。

自分にとっての「おいしい味噌」を見つける

おいしさの要素と、その違いが生まれる理由が分かってくると、味噌選びは少し楽しくなります。最後に、自分に合う味噌を見つけるためのヒントをいくつか紹介します。

一つ目は、料理の用途から考えることです。毎日の味噌汁には飲みやすい味わいのものを、魚や肉の味噌漬け・味噌炒めにはコクのある味噌を、といったように、使う場面に合わせて選ぶと失敗が少なくなります。

二つ目は、少量ずつ味わい比べてみることです。淡色の味噌と赤系の味噌、甘口と辛口など、タイプの違うものをいくつか試すと、自分がどの要素を好むのかが見えてきます。同じ味噌汁にして飲み比べると、違いがより分かりやすくなります。

三つ目は、香りや余韻にも意識を向けることです。ふだんは旨みや塩味に目が行きがちですが、お椀から立ちのぼる香りや、飲んだあとの後味まで味わってみると、「これが好きだ」と感じる味噌に出会いやすくなります。おいしい味噌は、探すというより、味わいながら見つけていくものなのかもしれません。

味わう視点を持つと、味噌はもっとおもしろい

「おいしい味噌」に、決まった正解はありません。香り・旨み・コク・甘み・塩味・余韻という要素と、自分の好みや料理の用途との組み合わせで、「おいしい」は決まっていきます。そして、その味わいの違いは、原料の配合や発酵・熟成のありようから生まれています。

こうした見方を持つと、いつもの味噌汁の一杯にも、これまで気づかなかった味わいが感じられるかもしれません。気になる味噌があれば、ぜひ少しずつ味わい比べて、自分にとっての「おいしい味噌」を見つけてみてください。

味噌のきになる疑問

Q. 高い味噌ほどおいしいのですか?

A. 価格の高さが、そのまま「あなたにとってのおいしさ」を意味するとは限りません。原料や熟成に手をかけた味噌には特有の深みがありますが、どの味わいを好むかは人それぞれです。用途や好みに合っているかどうかが、おいしさを感じるうえで大切です。

Q. おいしい味噌の見分け方はありますか?

A. 一つの決まった見分け方はありません。香り・旨み・コク・甘み・塩味・余韻といった要素を意識して、少量ずつ味わい比べてみるのがおすすめです。自分が心地よいと感じるバランスの味噌が、あなたにとってのおいしい味噌です。

Q. 甘い味噌と辛い味噌では、どちらがおいしいですか?

A. どちらがおいしいと決めることはできません。甘い味噌はやわらかくまろやかな味わい、辛口の味噌はしっかりとした塩けとコクが特徴です。料理や好みによって合うものが変わるため、両方を試して比べてみるとよいでしょう。

参考文献